「草食系男子」 VS おばちゃん
最近、自分の勤めている会社の休憩室でパートのおばちゃんたち(うちの会社で事務とかやる人は既婚女性が多い)達が言ってた話です。
「ねえ、あの主任、何かいつもはっきりしないのよね」
「そうそう、私たちに言われないと指示もしてこないし」
「この前も部長に怒られてたわよ。そんときも『はぁ』とか『えぇ』とかはっきりしないの。こっちがいらいらするわ」
まあ、世の中ダメな男に対する評価というのは本当に手厳しいもので、特におばちゃんの評価はことのほか辛辣なものです。
対象とされている主任というのは別の部署の人なのでよくは知りませんが、まあかわいそうだなぁと缶コーヒーをすすりながら聞いていました。そこに衝撃の一言。
「ほら、あの主任って・・・よく最近言われてる・・・『草食系男子』ってやつじゃない?」
「そうそう、そんな感じ!エネルギーがないわよね!」
思わずすすってたコーヒーを吹き出しそうになる私。というのもその数日前、私自身が、
「○○くんって、草食系男子って感じよね」
といわれていたからに他なりません。
そのときは、
「どうせおばちゃんのことだから、脂ぎっていなさそうな男のことを『草食系男子』とでも言ってるんだろうなぁ」
とタカをくくっていたのですが、とんでもない。彼女たちはすでに「草食系男子」の本質を突いていたのです。
結局、「草食系男子」という言葉の本質が、恋愛にオクテだとか、ガツガツしないとかそんなホンワカイメージな言葉なのではなく、恋愛に「臆病」で、精力的でない、いわゆるデキない男の揶揄であるということは私も最初から分かっていたのですが、多分おばちゃん達のなかでも最初からそういった受け止め方をしていたんじゃないかなぁと思うのです。
まあ考えれて見れば、いまのおばちゃん世代の若いころはバブル絶頂期です。デートといえば「高級車に乗ってドライブした後、海の見えるフランス料理でディナーして、高級ホテルに泊まる」みたいなことを本当に実践していた人もいる世代ですから、うだつの上がらない男が嫌いなのも頷ける話です。まあうだつの上がらない男がモテた時代なんてある訳ないんですけど。
で、結局「草食系男子」って誰得だったんですかね?
私が思う「草食系男子」で得をした人たちというのは以下のとおりです。
- 「こんなボクでも、個性を認めてくれる場があったんだ!」という、これまで肉食男全盛で見向きもされなかった「控えめな」男性・・・・本人じゃなくて、そういう幻想を抱いた男たちに対してとりあえず「草食系」って言葉を載せて彼らをその気にさせたマスコミ。
- とりあえず、さわやかっぽかったら「草食系」という触れ込みをつけてタレントを売り込んだ芸能事務所。
- 「私がこれまで男の人に縁がなかったけど、草食系男子くんが私に声をかける勇気がなかっただけなんだわ!」という女性・・・・ではなく、そういう女を無理にでもやる気にさせようとした女性誌と結婚相談所。
ちょっと前は、「草食系男子を攻略する」的なタイトルを打った結婚式場もありました。本当何を考えているのでしょうか?
まあ、ブームも落ち着いて残ったのは、おばちゃんに低評価な自分がいるということだけだったというお話でした。
おしまい。