大成建設のCMが新海誠「っぽい」件について
えー、最近やっているCMのことなんですけど、大成建設のCMがアニメなんですよ。しかも、画を見た瞬間、心をえぐられる感じ・・・。そう、「秒速5センチメートル」を初めて第3話まで見た後に襲われたあの感じ・・・。
詳しくは、下記の大成建設HPをご覧下さい。
いきなり、さわやかなタッチで描かれた建設現場と、そこに立つヘルメットを被った若者がドーンと映って、いかにも「希望あふれる青年が、大成を支えてます!」とアピールするのもつかの間、その下のニュースリリースに、
「さがみ縦貫宮山高架橋下部(その17)工事における杭不具合及び不正な報告について」
という不祥事もあったりします。
で、作品を改めて見ました。内容としては、
主人公は、新ドーハ空港建設のために、おそらくカタールに赴いているようで、町や港を歩いたりするシーンから始まります。
その後、彼が空を見上げ、ちょっと回想シーンに。そこには、主人公の隣に座る女性の姿。次に桜が満開の橋?の上で振り返る彼女の姿、そしてベランダから彼女が空を眺めると、そこには飛行機雲が。昼間ベランダにいる=すでに結婚しているという表現で、多分彼女は主人公である「大成一郎(仮名)」君の妻なんでしょう。
その飛行機雲をなぞるように飛び立つ飛行機の下に、主人公の姿。まあ要するに主人公と女性が同じ空を見ていますよ的な展開ですね。最後に「地図に残る仕事」というキャッチフレーズが出て、CMは終了。
こんな感じです。ちなみにこれは30秒verなので、
「おい、さっき見たけど女なんかでてこねーぞ!お前の妄想だろ!」
という突っ込みはなしですよ。それは15秒verです。
で、このCMを見ると、「秒速」のあのシーンを思い出すわけです。
第3話、山崎まさよしの曲が流れる中、ベランダで桜の花びらを結婚指輪をはめた手で受ける明里の姿。幸せ絶頂感をまざまざと見せ付けられるあのシーンです。
大成CMの女性の姿は、髪型といい、ベランダという同じ場所(秒速では外からの視点で、大成版は中からの視点になっているけど、)といい、もう明里そのものです。狙って作ったとしか思えません。
こう思ったのは私だけではないようで、ニコ動にもこのCMはアップされているのですが、そこのには、
「明里の旦那」
というタグがついてます。
うんうん、そうかそうか。このCMには大成建設の深慮遠謀があるわけだ。
「いいか、若者よ。建設業というのは実物を一から生み出す大切な仕事なんだ。立派な仕事をすれば、CMみたいなかわいい奥さんもできるぞ!」
↓
「それに引き換え、SEみたいにパソコンの前で実体のないものをチマチマとやっている仕事じゃあ、彼女ともうまくいかないし、仕事も嫌になってやめちゃったりするんじゃないか?」
↓
「どうだ!有望な若者よ。大成建設に入ろうじゃないか!」
こういうシナリオだったとは・・・。秒速のシナリオをも呑み込んだ壮大な新入社員募集が完成しました。
そうか・・・。明里の旦那は大成の社員だったのか。じゃあ俺も大成にはいろうかなぁ・・・なんて全然思いませんよ!
いや、現実に大成の社員の人と会ったことあるんですけど、実際は依頼主からいきなり計画変更させられるわ、それを現場に伝えたらおっかない職人たちに怒鳴られるわと、相当キツい仕事みたいですよ。
で、タイトルのとおり、このCM、実は新海誠氏は絡んでないんですよね。前作「雲のむこう、約束の場所」で作画をやったスタッフが作ったらしく、テイストが似ているだけで、新海作品ではないようです。
これについて、秀逸なブログがあったので、紹介します。
「大成建設のアニメCMを新海誠作品とは誤認しない、たった一つのポイント」
http://d.hatena.ne.jp/mame-tanuki/20090301/SinkaiMakoto_taste
「新海作品ならこういうストーリーになる」というところが笑えたし、感心した。ドバイまで行っても季節労働者だったら、新海作品ということですね。
確かに、このCM、鬱っぽさないもんなぁ。企業CMで鬱っぽかったらアウトだけど。
それでも、あのベランダシーンは絶対、秒速明里サイドという一面をイメージして作ったに違いない。
はぁあ、頼むからTVCMでも僕ら*1を鬱にさせないでくれ・・・。
*1:って誰だよ