この世で最も低俗な「小説版・秒速5センチメートル」書評 その2

昨日の続きです。

一応ネタバレなので、知りたくない人は今のうちにYahooに飛んで、玉置浩二石原真理子の復縁騒動でも見てきてください。結局あの暴露本は何だったんだよ・・・。









では始めます。


どうも「貴樹はおれらの仲間」と思っている人たちの中には、アニメ版で彼が仕事をやめたらしいという表現から、やっぱり社会に適合できなかったんだよ、アイツはとか、果ては「貴樹はニート」とか言っている人がいます。

ですが、小説版ではそれも全く逆であるということが分かります。


彼は三鷹にある中堅ソフトウェア開発会社にSEとして入社します。ここの表現だけやたらリアルで、恐らく作者の意気込みが強かったんだろうと推測します。


このソフトウェア会社は社員同志の交流が少ない(私からすればうらやましい環境だなぁと思う)とか、就職してからの数年はただ決められたことを繰り返す毎日だったとか
まあいかにもありがちな社会人生活を送る貴樹くんですたが、そこに一つの転機が訪れます。


「遠野さん」


と、彼は新宿駅で一人の女性に声をかけられます。


ちなみに私が駅で声をかけられるのは、きまって絵葉書を持ったケバめの女性ばかりです。私は町で配られるものはティッシュでもチラシでも何でももらうタチなのですが、この絵葉書だけは絶対に受け取りません。

彼女たちはよく見ていると、誰も彼もに絵葉書を配っているのではありません。明らかにモテなさそうな人を選んで配っています。つまり、絵葉書を受け取ることは「あなたはモテてませんね」と言っているようなものなのです。ですから、秋葉原駅前に特にポストカードトラップが仕掛けられているのは、ある意味入れ食い状態になること請け合い、と業者が勘違いしているからです。

実際、私をはじめとする非モテもそこまでバカじゃありません。ケバい女は常に警戒しますから、意外と成功率は低いのです。


すいません、すっかりラッ○ン商法の話になってしまいました。


この女性こそ、お待たせいたしました、アニメにも登場するメガネっ娘、名前は水野雄仁*1・・・いや、池田高校出身の愛称金太郎の人じゃなくて、本当は水野理沙という方です。

また、このメガネが「ベージュのつば広の日傘帽子」をかぶったいかにもオタク好みする風体な訳です。


彼女はクライアントの担当者(ちなみに名前は吉村、偶然にも巨人の選手と同じ苗字。まあ彼はこの物語に何ら関与してません)の部下で、数回しか顔を合わせたことがない間柄だったのですが、そんな女の子が街で声をかけてくるのです。


何だよ、世のなか黙ってても女は降ってくるじゃん!


本当、こちとら取引先はオッサンばかりだし*2!でもふとしたきっかけで競馬の話で盛り上がるのでそれはそれで楽しいです。


まぁまぁ、百歩ゆずってそういう人が私にもいたとして、向こうが挨拶してきたとしましょう。当然私はこう返しますわ。


「あ、どうもどうも!いつもお世話になっておりまして。いやいや今日は本当に暑いですよねぇ・・・(話題がなくなったことを示す3点リード) じゃ、またよろしくお願いしま〜す」


でも貴樹くんは違いますよ。今日は予定がないので買い物に来たと話すメガネに、


「同じです、僕も。じゃあ、よかったら、少しお茶でも飲みませんか」


ええっ?その「じゃあ」は何?

買い物という目的が同じ人はお茶を飲むのがアタリマエ〜*3というローカルルールが新宿にはあるんでしょうか。恐るべき新宿。さすが新宿鮫がいるだけのことはあります。


その後は、1週間後にメールで夕食に誘い、その次の週はメガネから食事のの誘いがあり、そのまた次の週は貴樹から映画意誘って・・・と順調に二人は交際を深めます。


いや、1週間ごとにデートとはうらやましいですなぁ。

私といえば、毎週デートなんてときメモ」で爆弾処理をする時ぐらいしか経験がないもので、何ともいえませんね。

じゃあ普通にプレイしていて毎週デートしないのかというと、私のようなものぐさプレーヤーにもなりますと、デートのたびにイベントが起こるのが面倒で、休日もリアル生活同様「寝る」コマンドを使ってしまうものです。めんどくさいもんね。


そんな私のときメモプレイ日記はさておき、何やかんやでメガネと付き合うんですけど、そんな彼にまた転機が訪れるのです。


はいは〜い、「貴樹ニート説」を唱えている人良く聞いて。このあとの展開読めばわかるから。


入社して3年、貴樹はうまくいかなかったプロジェクトの残務処理をさせられるという苦悩を味わうのですが、そこのチームリーダーの指示が悪いのか、いっくら経っても仕事が終わらない。で、貴樹くんはチームリーダーに意見をしたり、独断で仕事を進めたりして怒鳴られ、「おめえ、二度と勝手に仕事スンナ!」的なことまで言われてしまいます。


あぁ、あるよねぇ、そういうこと。うんうん、それで・・・


それでも仕事はうまくいかず、叱責される毎日。上司の上司に相談してもダメだし、酒やタバコが増えていくばかり・・・。そして、彼はついに決断するのです。


『もうチームから外してください。それがダメなら会社を辞めます』


「そうかそうか、俺もそうやって会社を辞めたなぁ・・・」

お〜っと、そこのお兄さん。話は最後まで聞きましょうね。


会社が彼の意見を聞いて取った行動。それは、


チ ー ム リ ー ダ ー の 更 迭


そう、貴樹くん、実は会社でものすごーく認められていて、上司の上司が「あいつが言うんなら」と言ったかどうだか知りませんが、なんと上司のほうが飛ばされてしまうのです。


さしずめ私なら、


解 雇 


あ、二文字でおわったよ。


で、新しくきたリーダーの下で仕事はうまく収束を迎えたのでした。メデタシメデタシ。あ、そこで愕然としてるお兄さ〜ん、もう幕は下りたよ〜。


メガネとの生活はどうなったかというと、彼女はいつも夕食は作ってくれるわ、互いの部屋には2本の歯ブラシやお互いの下着が置いてあるという、明らかにセックスを暗示させるお決まりネタはあるわ、終いには、

「外は寒いけど、僕の裸の肩に乗った彼女の頭はとってもあったかい」
(言っておきますがセリフは私のアレンジですからね。本当の文章は3人称です)

とかなっちゃってるわと。もう軋むベッドの上で優しさを持ち寄りました的展開です。


でも、結局メガネとも別れちゃうんですね。それも何となくだそうですよ。アニメではメガネが電話をかけてくるシーンがあったかと思いますが、あれは、しばらく音信が途絶え、久しぶりにかかってきた電話だったのです。まあ貴樹は余裕のスルーですけど。


そういえばアニメ版で「3年間付き合った彼女」とは、言うまでもなくこのメガネのことみたいです。アニメでは「1000回メールしても心は1センチしか近づかない」的なことでしたが、そんなもんですか。私から言わせれば毎晩夕食作っててもそんなんじゃ、相当鈍感なのではと言いたくなります。

(アニメと小説は別物、といったらそれまでなんですけど)


あと、貴樹はメガネが会社の後輩*4から電話がかかってきて明るく談笑しているのを見て、知らない男からではないかと激しく嫉妬し、果ては「水野のセーターの下の白い肌に指を這わす姿」を思い浮かべるという妄想癖があることも判明。


妄想癖には同情しますが、お前リアルに胸揉んでるんだから十分だろ!


取り乱しました。


で、彼は会社も辞めることになるのですが、空虚な日々が続くばかりという彼の心境とは反面、実は彼はいつも同期の稼ぎ頭、メジャーリーガー的に言えば「稼頭央」*5で、会社からの期待は絶大だったそうです。会社を辞めると言い出せば、事業部長まで出てきて彼を引きとめ、下克上された前チームリーダーでさえ「あの時は悪かったな」と頭を下げてくるほど。


本気で会社から引き止められるほどの逸材を「俺たちの仲間」と思っていたあなた、そして俺、明日からも仕事がんばりましょう。多分、一生かかっても会社からこう思われることはないでしょう。それでもがんばりましょう。


本当は今日で終わらせるつもりだったのですが、続きはまた次回にします。


次回は今回の続きと「渡せなかった手紙」について。


しかし、こんなフィクションの物語にここまで噛み付くなんて、どうかしてるわ、俺。

*1:いまwikiで調べてはじめて「かつひと」と読むことを知った

*2:取引先の人、すいません

*3:アルシンド風に

*4:と書いてあるので男だか女だかは不明

*5:そういえば、松井稼WBC落選騒動はどうなったの?